一色一香
読み方:いっしき いっこう
意味
仏教、特に天台宗でいう語。一つ一つの色や香り、すなわち草木・山川などを含むあらゆる事物・現象は、それぞれが仏の真理(中道)と離れていないという考えを表す。非情のものにも仏性・成仏の可能性を認める思想と結び付く。
由来
中国・隋代の天台大師智顗(538~597)による天台教学に由来する。智顗の講説を弟子の灌頂が記録・編纂した『摩訶止観』(6世紀末、594年ごろの講説)にある「一色一香、無非中道(いっしきいっこう、中道にあらざることなし)」という句が基礎である。日本では天台宗・日蓮系の仏教思想の中で用いられてきた。
備考
日常会話で用いる四字熟語ではなく、主に仏教・思想・宗教史の文脈で使う。「一つの色と一つの香り」だけを字義どおりに指す語ではない。
誤用・混同注意
- 「いっしょくいっこう」と読まない。一般に「いっしきいっこう」と読む。
- 単に一種類の色と香りを意味する語だと解するのは不正確で、仏教的には万物と真理の関係を説く語である。
例文
- 天台の教えでは、一色一香にも仏の真理が宿ると説かれる。
- 庭の草花を眺めながら、師は一色一香の思想について語った。
- 自然を単なる資源として扱わない姿勢は、一色一香という見方とも響き合う。