依正不二
読み方:えしょう ふに
意味
仏教語。衆生の身心・生命主体をいう「正報」と、その衆生が住む国土・社会・自然などの環境をいう「依報」とは、別々に切り離して存在するのではなく、相互に深く関わり合う一体のものである、という教え。
由来
中国・唐代(8世紀)の天台宗の僧、湛然(たんねん、711~782)が著した『十不二門』で説かれる「十不二」の一つ「依正不二門」に由来する。正報(生命主体)と依報(その主体が依り住む環境)は不二であるという天台教学の思想で、日本では天台宗や日蓮系の仏教で重視されてきた。
備考
「依正」は「衣装」ではなく、依報・正報の略。日常では人と環境の不可分な関係を表す比喩としても用いる。ただし、環境問題や困難を個人の心だけに帰す意味ではない。
誤用・混同注意
- 「依正」を「いせい」と読まない。正しくは「えしょう」。「不二」はここでは「ふじ」ではなく「ふに」と読む。
- 「依正」を「衣装」と取り違えない。
例文
- 天台教学では、依正不二の立場から、国土の乱れと人々の心の乱れを切り離して考えない。
- 住環境を整えることも、依正不二の思想に照らせば、自らの生き方を整えることにつながる。
- 彼は依正不二という観点から、地域の自然保全と住民の意識改革を同時に進めるべきだと説いた。
分類
類義語
- 依正一如
- 依正不離