鮑魚の肆に入るが如し
読み方:ほうぎょ の し に はいる が ごとし
意味
悪い人や好ましくない環境に長く身を置くと、初めは不快・不正だと感じたことにも慣れ、悪い影響を受けて自分まで同化してしまう、というたとえ。「鮑魚の肆」は臭いの強い塩漬け魚を売る店を指す。
由来
中国の古典『孔子家語』の「六本」に見える言葉に由来する。同書には、善人と交わることを「芝蘭の室に入るが如し」、不善な人と交わることを「鮑魚の肆に入るが如し」とたとえる記述がある。現行の『孔子家語』は魏の王粛(195~256年)による編纂・整理とされるが、成立事情には異説もあり、この句の正確な初出年は不詳である。
備考
漢文調のやや硬い表現で、日常会話より文章や教訓的な文脈で用いられる。「鮑魚」はここではアワビではなく、臭いの強い塩漬け魚をいう。
別表記
- 鮑魚の肆に入るがごとし
補足
- 「鮑魚」を「あわび」と読み、アワビを売る店の意味だとするのは誤り。この句では中国古典における塩漬け魚を指し、通常「ほうぎょ」と読む。
- 単に「臭い店に入る」という文字どおりの意味に限定するのは不十分で、悪い交友や環境に慣れて人格・感覚まで染まることを戒めるたとえである。
例文
- 不正を当然視する職場に長くいれば、鮑魚の肆に入るが如しで、倫理観まで麻痺しかねない。
- 父は子に、鮑魚の肆に入るが如しという古言を引き、付き合う相手をよく選ぶよう諭した。
- 悪口ばかり言う集団に身を置けば、鮑魚の肆に入るが如し、いつしか自分も同じような言葉を使うようになる。
分類
類義語
- 朱に交われば赤くなる
- 近朱者赤、近墨者黒