閻魔の前の菜汁
読み方:えんま の まえ の なじる
意味
非常に恐ろしい人や場面の前で、恐怖のためにすっかり萎縮し、落ち着いて物を食べることすらできないような状態をいう。転じて、厳しい叱責・尋問・裁きなどを前にして震え上がることのたとえ。
由来
仏教で、死者の生前の行いを裁く冥界の王とされる閻魔を、最大級の恐ろしい存在として用いた表現。「菜汁」は野菜を入れた汁物で、「なじる」と読む。正確な成立時期や作者は不明だが、江戸時代に成立・流行した上方いろはかるたの「え」の札として知られる。
備考
上方いろはかるたの「え」の札として知られる。現代の日常会話ではあまり使われず、古風で戯画的な響きがある。「菜汁」はこの語では一般に「なじる」と読む。
別表記
- えんまの前の菜汁
- 閻魔の前のなじる
- えんまの前のなじる
誤用・混同注意
- 「菜汁」を「さいじゅう」と読むのは一般的ではない。このことわざでは「なじる」と読む。
- 「なじる」を動詞の「詰る(なじる)」と解し、閻魔が人を責める意味だとするのは誤り。ここでは汁物の「菜汁」を指す。
- 閻魔自身が菜汁を食べる様子をいう語ではなく、恐ろしい裁きの場を前にした人の萎縮した状態をたとえた表現である。
例文
- 厳格な祖父に成績表を見せるときは、子どもたちにとって閻魔の前の菜汁だった。
- 初めて監査官の前で説明した彼は、まさに閻魔の前の菜汁といった有様で、声が震えていた。
- 社長から直接事情を聞かれることになり、彼は閻魔の前の菜汁のように縮こまっていた。
分類
類義語
対義語
- 怖いもの知らず
- 泰然自若
- 肝が据わる