貧は士の常
読み方:ひん は し の つね
意味
貧乏であることは、学問や教養を身につけた「士」、すなわち知識人・志を持つ人にとっては珍しいことではない、という意味。貧しさを必要以上に恥じたり嘆いたりせず、志や学問を守るべきだという、清貧を尊ぶ考えを表す。
由来
「士」を知識人・教養人の意で用いる漢文調の表現で、中国に古くからある、貧しくても道や志を守るという安貧の思想を背景とする。日本では漢籍の受容を通じてことわざとして定着したと考えられるが、この形そのものの正確な初出文献・成立年は不詳である。
備考
「士」は現代の「兵士」や「武士」だけを指す語ではなく、本来は教養や志を備えた人、特に知識人をいう。現代では日常会話よりも、文章語・教養的な表現として使われる。
別表記
- 貧賤は士の常
- 貧は士の常、窮は道の常
誤用・混同注意
- 「士」を現代の武士・兵士だけの意味に限定して解釈するのは不適切。ここでは主に学問や教養を備えた知識人・志士を指す。
- 「すべての人は貧乏でいてよい、または貧困を放置してよい」という意味ではない。清貧を尊ぶ文脈の表現である。
例文
- 研究一筋で暮らしは楽ではないが、貧は士の常という気持ちで勉学を続けた。
- 父は若い芸術家の生活を心配する私に、「貧は士の常ともいう。今は作品を磨く時期だ」と諭した。
- 貧は士の常とはいえ、学問を志す人が生活苦で学びを断念しないよう支援する必要がある。
分類
類義語
- 安貧楽道
- 清貧に甘んじる
- 貧賤は士の常