財は五家の共有
読み方:ざい は ごけ の きょうゆう
意味
財産は、盗賊・火災・水害・権力者・不肖の子など、さまざまなものによって失われるおそれがあるため、完全に自分だけのものとして永く保てるものではない、というたとえ。財の無常さを戒め、執着しすぎないよう説く言葉。
由来
仏教論書の大智度論にある「財物は五家に分かたれる(五家所共有)」という考えに基づく。五家とは、王(権力者)・盗賊・火・水・不肖の子をいう。大智度論は伝統的にインドの竜樹(2~3世紀頃)の著とされ、鳩摩羅什による漢訳は中国・後秦の402~406年頃に行われた。
備考
「五家」は五つの家庭という意味ではなく、財産を奪い得る五種類の要因を指す。現代の日常会話ではやや硬く、仏教的な無常観や蓄財への戒めを述べる際に用いられる。
別表記
- 財は五家の共有なり
誤用・混同注意
- 「五家」を『五つの家庭が財産を共同所有すること』と解釈するのは誤り。王・盗賊・火・水・不肖の子という、財産を失わせる五つの要因をいう。
- 単に『財産は皆で分けるべきだ』という平等分配の主張としてのみ理解するのは不十分。中心的な意味は、財産はいつ失われるか分からない無常なものだという戒めである。
例文
- 多額の現金を家に置くのは危険だ。財は五家の共有というのだから、適切に管理しよう。
- 火災と盗難で資産を失った彼は、財は五家の共有という言葉を痛感した。
- 相続の準備まで考えておくのは、財は五家の共有という教えを忘れないためでもある。
分類
類義語
対比・対照ことわざ
- 金は天下の回りもの
- 富貴は浮雲の如し