蚯蚓の悔い、蛇を呑む
読み方:みみず の くい、 へび を のむ
意味
弱く小さい者でも、深い悔しさや憤りを抱いて奮起すれば、強大な相手を打ち負かすほどの力を発揮することがある、というたとえ。「悔い」は単なる後悔ではなく、強い無念さ・恨み・憤りをいう。
由来
江戸初期の俳諧書である毛吹草(17世紀半ば、正保年間ごろ)に見えるとされる日本のことわざである。弱いミミズが、はるかに強そうな蛇をのみ込むというあり得ないほどの逆転を誇張し、弱者の執念や憤りの強さを表した。上方いろはかるたの「み」の札としても知られる。
備考
現代の日常会話ではやや古風な表現。弱者が憤りや執念を力に変えて強者に立ち向かう場面で用いるが、復讐や暴力そのものを勧める語ではない。
別表記
- みみずの悔い、蛇を呑む
- 蚯蚓の悔み、蛇を呑む
- 蚯蚓の悔い、蛇を飲む
誤用・混同注意
- 「悔い」を単なる後悔と解するのは不十分。ここでは、弱者が抱く強い悔しさ・無念さ・憤りを指す。
- ミミズが実際に蛇をのみ込むという生物学上の事実を述べた表現ではなく、弱者が強者をしのぐほど奮起することの誇張表現である。
- 「弱者なら必ず強者に勝てる」という一般則をいうことわざではない。
例文
- 小さな町工場だが、不当な条件を押しつけられた悔しさをばねに技術を磨き、大企業から主要な受注を奪った。まさに蚯蚓の悔い、蛇を呑むだ。
- ふだん温厚な彼女も仲間を侮辱されては黙らず、強豪相手の試合で見事に勝ち切った。蚯蚓の悔い、蛇を呑むという勢いだった。
- 弱小チームが連敗の悔しさを力に変え、王者を破った試合は、蚯蚓の悔い、蛇を呑むを思わせた。