泰山を挟んで北海を超う
読み方:たいざん を はさんで ほっかい を こゆ
意味
泰山を両脇に抱え、北海を跳び越えるような、到底人間には実行できないことのたとえ。努力や意志が足りないのではなく、能力や条件から見て真に不可能な事柄をいう。また、「できない」ことと、できるのに「しない」こととは別である、という対比の文脈でも用いる。
由来
中国・戦国時代、紀元前4世紀ごろに成立したとされる『孟子』「梁恵王上」に由来する。孟子が斉の宣王に対し、「泰山を脇に抱えて北海を越える」ことをできないというのは真に不能である一方、年長者のために小枝を折ることをできないというのは、不能なのではなく、しないだけだと説いた故事から生まれた。原文では「挟太山以超北海」という。
備考
原典では「太山」と書く。通常は、相手に実行不可能なことを求めるたとえとして使う。単に面倒でやらない、努力が足りないという意味には用いない。
別表記
- 泰山を挟みて北海を超ゆ
- 泰山を挟んで北海を超える
- 泰山を挟んで北海を越える
- 太山を挟んで北海を超える
誤用・混同注意
- 「非常に難しいが、努力すれば必ず達成できる大事業」という意味にするのは不正確。原義は、努力だけでは実現できない真に不可能なことのたとえ。
- 「できない」と言う人の怠慢を非難する語とするのは誤り。この句自体は「真にできない」場合を指し、原典では「できるのにしない」ことと対比されている。
例文
- 必要な人員も予算もないのに一週間で完成させろというのは、泰山を挟んで北海を超うような要求だ。
- この装置だけで大地震を完全に予知するのは、現代の技術では泰山を挟んで北海を超うに等しい。
- 彼が怠けているからできないのではない。この条件では、泰山を挟んで北海を超う類いの不可能さだ。
分類
類義語
対比・対照ことわざ
- 長者の枝を折る
- 為せば成る