情けは人の為ならず
読み方:なさけ は ひと の ため ならず
意味
人に親切や思いやりを示すことは、相手のためになるだけでなく、巡り巡って自分にもよい形で返ってくる、という意味。「人の為ならず」は「人のためではない」という意味ではなく、「人のためだけではない」ということを表す。
由来
直接の初出や現在の形が定着した時期は明確ではない。鎌倉時代後期の仏教説話集『沙石集』(弘安6年・1283年頃)にあるとされる「慈悲は人のためならず、己がためなり」という趣旨の言葉が源流といわれる。のちに江戸時代の江戸いろはかるたの「な」の札として広く知られるようになった。
備考
「親切は相手のためにならない」という意味に誤解されやすい。古語の「ならず」は否定で、「人のためだけではない」の意。打算的に親切をせよ、という教えではない。
別表記
- 情けは人のためならず
- 情けは人の為ならず、己が為
- 情けは人のためならず、己がため
誤用・混同注意
- 「人に情けをかけても相手のためにならない」という意味で解釈するのは誤り。正しくは、情けは相手のためになるとともに、巡り巡って自分にも返るという意味。
- 「情けは人の為にならず」と「に」を入れるのは誤り。定型は「情けは人の為ならず」。
例文
- 困っている同僚を手伝った。情けは人の為ならずというように、いつか自分が困ったときにも助け合えるだろう。
- 地域の清掃活動には積極的に参加している。情けは人の為ならずで、住みよい町は皆にとって利益になる。
- 彼女は見返りを求めず後輩を指導したが、情けは人の為ならず、後に後輩が大きな力になってくれた。
分類
類義語
- 情けは我が身のため
- 善因善果
- 人に施せば己に返る
対義語
- 恩を仇で返す
- 情けが仇となる
対比・対照ことわざ
- 恩を仇で返す
- 情けが仇となる