家鶏を捨てて野鶩を逐う
読み方:かけいを すてて やぼくを おう
意味
家で飼っている手近で確実な鶏を捨て、捕まえられるか分からない野生のカモを追う意から、身近にある確かな利益・価値を見捨てて、遠方の不確実なものばかりを求めることのたとえ。多くは、欲張りや判断の誤りを戒める意味で用いる。
由来
中国戦国時代末期の思想家・韓非(前280年頃~前233年)の著作とされる『韓非子』に見えるたとえに基づく。家で飼う鶏を捨て、捕らえにくい野生のカモ(野鶩)を追う姿によって、近くの確実なものを顧みず遠いものを求める愚かさを表した。成立は前3世紀頃とされる。
備考
「鶩」は野生のカモ・アヒルをいう漢語で、この成句では「やぼく」と読む。日常会話よりも文章語・教訓的な文脈で用いられ、遠い目標への挑戦そのものを否定する語ではない。
別表記
- 家鶏を棄てて野鶩を逐う
- 家鶏を捨てて野鶩を追う
誤用・混同注意
- 「家鶏」を「いえにわとり」、「野鶩」を「のがも」と読むのは、この成句の慣用読みとしては不適切。正しくは「かけい」「やぼく」。
- 遠くの新しい目標を追うこと一般を否定する言葉だとするのは誤り。身近な確実な利益を不必要に捨て、不確実なものを追う軽率さを戒めるたとえである。
例文
- 安定した既存顧客との取引を軽んじて、実現するかも分からない大型案件だけを追うのは、家鶏を捨てて野鶩を逐うようなものだ。
- 地元で得られる支援を断り、条件の不確かな海外の話に飛びつくとは、家鶏を捨てて野鶩を逐う結果になりかねない。
- 目の前の仕事を着実に仕上げず、次々と新しい企画に手を出す彼の姿勢は、家鶏を捨てて野鶩を逐うと評された。
分類
類義語
- 近きを捨てて遠きを求める
- 家鶏野鶩
- 隣の花は赤い