遠くの親類より近くの他人
読み方:とおく の しんるい より ちかく の たにん
意味
遠方に住んでいて普段は頼りにしにくい親類よりも、近所に住み、日常的に助け合える他人のほうが、困ったときには頼りになるという意味。血縁だけでなく、近隣の人々との付き合いを大切にすべきだという教えでもある。
由来
近隣で助け合って暮らす生活感覚から生まれた日本のことわざとされる。正確な成立年や初出文献は未詳だが、江戸時代(17~19世紀)に成立・流布した上方いろはかるたの「と」の札に採られており、少なくともこの頃には広く定着していたと考えられる。
備考
上方いろはかるたの「と」の代表句。ここでいう「近く」は親しさではなく、主に住んでいる場所の近さを指す。親族を軽視する意味ではなく、緊急時には近隣の助けが頼りになるという実際的な教えである。
別表記
- 遠くの親戚より近くの他人
- 遠い親類より近い他人
- 遠い親戚より近い他人
- 遠き親類より近き他人
- 遠き親戚より近き他人
誤用・混同注意
- 「他人なら親類より常に優れている」という意味ではない。日常生活や緊急時に、近くにいる人が実際的な助けになりやすいという意味である。
- 「近くの他人」の「近く」を、心理的に親しい人という意味だけに解釈するのは不十分。基本的には居住地など物理的な近さをいう。
例文
- 地震で停電した夜、すぐに懐中電灯を貸してくれたのは隣人だった。遠くの親類より近くの他人という。
- 育児や介護で困ったときのためにも、遠くの親類より近くの他人の言葉どおり、地域の人とのつながりを大切にしたい。
- 父は引っ越しの挨拶を済ませてから、「遠くの親類より近くの他人と言うし、近所付き合いを大事にしよう」と言った。
分類
類義語
- 遠水近火を救わず
- 遠い親戚より近い他人