三軍も帥を奪うべし、匹夫も志を奪うべからず
読み方:さんぐんも すいを うばうべし、ひっぷも こころざしを うばうべからず
意味
大軍からは、その指揮官を奪うことができる。しかし、身分や力のない一人の人間からでも、その人が固く抱く志や信念までは奪えない、という意味。人はどのような境遇に置かれても、志を堅く守るべきだという教えである。
由来
中国の古典『論語』の「子罕(しかん)」篇にある孔子の言葉「三軍可奪帥也、匹夫不可奪志也」に基づく。成立は春秋時代の孔子(紀元前551年~紀元前479年)の言行を、戦国時代頃までに弟子・後学が編集して成立したものとされる。
備考
「三軍」は大規模な軍隊、「帥」はその総大将、「匹夫」は身分の高くない一人の男、転じて普通の一個人をいう。現代では「匹夫」に見下した響きを感じる場合があるため、対人表現では注意が必要。
別表記
- 三軍は帥を奪うべし、匹夫は志を奪うべからず
- 三軍可奪帥也、匹夫不可奪志也
- 三軍は将を奪うべし、匹夫は志を奪うべからず
誤用・混同注意
- 「匹夫」を単に『愚かな男』『取るに足りない男』とだけ解するのは不正確。原文では、地位や権力を持たない一個人であっても志を守り得ることを強調している。
- 「三軍」を文字どおり三つの軍隊だけの意味に限定するのは誤り。古典中国語では大軍・大規模な軍隊を表す語である。
例文
- 周囲に反対されても研究を続ける彼を見て、「三軍も帥を奪うべし、匹夫も志を奪うべからず」という言葉を思った。
- 困難な状況でも信念を曲げないことこそ、三軍も帥を奪うべし、匹夫も志を奪うべからず、という教えの実践だ。
- 指導者を失った組織は立て直せるが、一人ひとりが志を失えば終わりである。三軍も帥を奪うべし、匹夫も志を奪うべからずと言うゆえんだ。