髻中明珠
読み方:けいちゅう の めいしゅ
意味
髻(もとどり、髪を頭の上で束ねた部分)の中に秘蔵された光る珠のこと。転じて、きわめて貴重で、容易には人に与えられない宝物・教え・真理をいう。特に仏教では、仏が衆生に説く最上の教えである法華経をたとえる語として用いられる。
由来
『法華経』安楽行品に見えるたとえに基づく。転輪聖王が、功績のあった兵士にだけ、長年髻中に秘して決して人へ与えなかった明珠を授けるという説話である。これは、仏が最もすぐれた教えである法華経を最後に説くことのたとえとされる。現行の漢訳『妙法蓮華経』は後秦の鳩摩羅什が406年(弘始8年)頃に訳出したもの。
備考
仏教的・文語的な表現で、日常会話ではほとんど用いない。「髻」は髪を束ねたもとどりを指す。「髻中の明珠」と助詞を補っていうこともある。
補足
- 「髪中明珠」と書くのは誤り。正しくは、もとどりを表す「髻」を用いる。
- 「衣裏繋珠」と混同して、本人が気づかない才能だけを指す語とするのは不正確。髻中明珠は、容易に与えられない最上の宝・教えのたとえである。
例文
- 法華経では、最高の教えを髻中明珠にたとえている。
- その秘伝は、功績ある弟子にだけ授ける髻中明珠のように大切に守られてきた。
- 師は長年の研究成果を髻中明珠として秘蔵していたが、後継者に託すことにした。