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被髪左衽

読み方:ひはつ さじん

意味

髪を結わずに垂らし、衣服のえりを左前にすること。中国古代で中華の礼制に従わない異民族の風俗とみなされた姿をいう。転じて、未開・野蛮と見なされた風俗や、文明・礼法に従わない状態を指す。

由来

中国古典『論語』憲問篇にある孔子の言葉「微管仲、吾其被髪左衽矣(管仲がいなければ、私は髪を垂らし、左衽にしていたであろう)」に基づく。春秋時代(紀元前6〜5世紀)の管仲が、斉の桓公を補佐して異民族の侵入から中原の諸国を守った功績をたたえた表現である。『論語』自体の編纂は戦国時代から前漢初期ごろとされる。

備考

古代中国の華夷思想を背景とする語である。「左衽」は、一般に男性の衣服を右前にする中華の習慣に対する表現。現代では異文化を「野蛮」と決めつける含みを持ちうるため、主に歴史・思想の文脈で用いる。

補足

  • 「左衿」と書くのは誤り。正しくは「左衽」。
  • 単に髪型や着物の着方を表す中立的な語ではなく、古代中国における異民族観を含む表現である。

例文

  • 『論語』の被髪左衽という語には、当時の中華世界が周辺民族をどう見ていたかが表れている。
  • 研究者は、被髪左衽を単なる服装の描写ではなく、古代中国の文化的な境界意識を示す語として解説した。
  • 現代の文章で他者を被髪左衽と呼ぶことは、差別的に受け取られうるため慎重さが必要だ。

分類

類義語

対義語

この四字熟語に使われている漢字