衣裏繋珠
読み方:えり けいしゅ
意味
衣服の裏に価値ある宝珠が結び付けられていること。『法華経』の説話に基づき、人が本来は仏性や優れた才能・価値を備えているのに、それに気付かずにいることのたとえ。また、その潜在的な可能性そのものを指す。
由来
『法華経』の「五百弟子受記品」にある、貧しい男と裕福な友人の説話に由来する。友人は眠っている男の衣の裏に高価な宝珠を縫い付けるが、男はそれに気付かず貧しい生活を続ける。この宝珠を、衆生が本来備える仏性になぞらえた。法華経はインドで1~2世紀頃に成立したとされ、漢訳では鳩摩羅什による406年頃の訳が広く知られる。
備考
主に仏教・法華経の文脈で用いられる語。「後から宝を得る」意味ではなく、すでに持っている仏性・才能に本人が気付いていない、という点が重要である。
別表記
- 衣裏繫珠
誤用・混同注意
- 「衣裏」を「いり」と読むのは誤りで、読みは「えりけいしゅ」。
- 単に秘密の財宝を意味する語と解するのは不正確で、本来は自分に備わる仏性・潜在的価値に気付かないことのたとえである。
例文
- 『法華経』では、すべての人に仏性が備わっていることを、衣裏繋珠の譬えによって説いている。
- 彼女は自分の語学力を平凡だと思っていたが、留学を機にその才能を発揮した。まさに衣裏繋珠であった。
- 教育とは、学習者の中に眠る衣裏繋珠のような可能性に気付かせる営みでもある。
分類
類義語
- 衣裏の珠
- 無価宝珠