虚実皮膜
読み方:きょじつひまく
意味
虚構(うそ・作り事)と現実(事実)との境目は、皮膚と膜ほどにごく薄く、芸術や文学の真実味はその微妙な境界にある、という意味。特に演劇・小説などで、単なる事実の再現でも荒唐無稽な作り事でもない、真に迫る表現をいう。
由来
江戸時代中期、穂積以貫(ほづみいかん)が近松門左衛門の芸論・談話をまとめた『難波土産(なにわみやげ)』(1738年ごろ、元文3年)に、「芸というものは実と虚との皮膜の間にあるもの也」とあるのが由来。ここから、虚構と現実の微妙な境界にこそ芸の本質があるという考えを表す語となった。
備考
単独でも用いるが、「虚実皮膜の間(あいだ)」という形で使われることが多い。主に演劇・文学・映像などの芸術論で用いられ、事実と虚構を無自覚に混同することではない。
補足
- 「虚実皮膜」は、単に虚構と事実を混同することをいう語ではない。
- 本来の出典に近い形である「虚実皮膜の間」を、「虚実皮膜のあいだ」と読ませる場合もあるが、四字熟語自体の読みは「きょじつひまく」である。
例文
- この歴史小説は史実を踏まえながらも、虚実皮膜の表現によって登場人物を生き生きと描いている。
- 優れたドキュメンタリー映画は、演出を加えていても虚実皮膜の間で深い真実を伝える。
- 彼女の舞台には、現実の感情と創作の技巧が溶け合う虚実皮膜の魅力がある。
分類
類義語
- 虚実相半