絶聖棄知
読み方:ぜっせい きち
意味
聖人や賢者による人為的な道徳・教えを退け、知恵や技巧への執着も捨てて、ありのままの自然な生き方に従うべきだという考え。老子の無為自然の思想を表す。
由来
中国古典『老子』第十九章の「絶聖棄智、民利百倍(聖を絶ち智を棄つれば、民の利は百倍す)」に由来する。『老子』は伝統的には春秋時代の老子の著とされるが、現在では戦国時代(紀元前4〜3世紀頃)に成立・編纂されたとみる説が有力である。日本語の四字熟語では通常「絶聖棄知」と表記する。
備考
日常会話で用いる語ではなく、老荘思想・漢文・思想史の文脈で使われる。出典本文には「絶聖棄智」の表記が見られるが、日本語の熟語としては「絶聖棄知」が一般的。
誤用・混同注意
- 出典『老子』の本文では「絶聖棄智」とされることがある。「智」は出典上の表記であり、単純な誤字と断定はできない。
- 「聖」を単に宗教上の聖人だけ、「知」を単なる知識一般だけを指す語と狭く解しないよう注意する。
例文
- 老子は、為政者が作った道徳や知識への過度な執着を離れる思想を、絶聖棄知として説いた。
- 彼の自然に任せる生き方には、絶聖棄知に通じるところがある。
- この文章でいう絶聖棄知は、学問を無条件に否定する意味ではなく、人為への執着を戒める考えである。