筆力扛鼎
読み方:ひつりょく こうてい
意味
文章や書の筆致に非常な力があり、気勢が雄大で力強いこと。「鼎(かなえ)を持ち上げるほどの力」という比喩から、特に文筆の迫力・表現力がすぐれていることをいう。
由来
「扛鼎」は、鼎という重い器を持ち上げる意で、『史記』項羽本紀の「力能扛鼎」に由来する。これを文筆に転じた「筆力扛鼎」は、明代嘉靖年間(16世紀後半・1560年代)に茅坤が編んだ『唐宋八大家文鈔』に見え、韓愈の文章を評する文脈などから、文章の力強さを表す語として用いられるようになった。
備考
日常会話で使うことはまれで、文学作品の評、書評、文章表現への賛辞などで用いる雅語的な表現である。人の腕力そのものをほめる語ではない。
誤用・混同注意
- 「筆力抗鼎」と書くのは誤り。鼎を持ち上げる意の「扛」を用いる。
- 「扛鼎」を「こうてき」などと読まない。読みは「こうてい」。
例文
- 彼の評論は筆力扛鼎で、社会の矛盾を鋭く描き出している。
- 新人作家とは思えない筆力扛鼎の文章に、選考委員たちは圧倒された。
- この序文は筆力扛鼎の名文として、今なお多くの読者に愛読されている。
分類
類義語
- 筆力雄健
- 力透紙背
- 雄健豪放
対義語
- 軟弱無力
- 筆力不足