端木辞金
読み方:たんぼく じきん
意味
善意であっても、必要な報酬や補償まで辞退すると、後に同じ善行をする人が減り、かえって社会全体のためにならないこと。個人の過度な清廉さが、善い制度や行いを妨げる場合があるという戒め。
由来
中国の『呂氏春秋』先識覧・察微に見える故事に基づく。『呂氏春秋』は戦国時代末の紀元前239年頃に編まれたとされる。魯では、他国で奴隷などにされた魯人を買い戻した者に国庫から費用を支給した。孔子の弟子・子貢(姓は端木、名は賜)がその金を辞退すると、孔子は、以後人々が報酬を受けるのを恥じて救出しなくなるとして批判した。
備考
日常会話ではまれで、故事・倫理や組織運営を論じる文章で用いられる。「金」は単なる私利ではなく、救出費用として国が支給する補償を指す。
補足
- 「端木」を一般名詞のように解するのは誤り。孔子の弟子・子貢の姓である。
- 金銭を惜しんで断る意味ではない。善行を支えるための公的な補償・報酬を辞退した故事である。
- 「端木受金」とするのは誤り。子貢は金を「辞」したことからいう。
例文
- 活動費の補助まで辞退すれば、後継者が同じ活動を続けにくくなる。端木辞金の戒めを考える必要がある。
- 彼の無償奉仕は立派だが、制度としては端木辞金にならないよう、適正な報酬を受け取ることも大切だ。
- 救助者への補償をなくす案に対し、委員は「端木辞金の故事もある」と述べ、善行を支える仕組みの必要性を訴えた。
分類
対義語
- 子路受牛