移孝為忠
読み方:いこう いちゅう
意味
父母に孝行する心を、君主に忠義を尽くす心へ移し変えること。親への孝と主君への忠は本質的に通じるものだとする、儒教的な考え方をいう。
由来
中国古典『孝経』の「広揚名」章にある「君子之事親孝、故忠可移於君(君子は親に仕えて孝であるから、その忠を君主に移すことができる)」という趣旨に基づく。『孝経』は伝統的に孔子の教えとされ、遅くとも前漢期(紀元前2世紀ごろ)までに成立したと考えられている。
備考
「孝」は親孝行、「忠」は主君などへの忠義を指す前近代儒教の語。現代の日常会話ではほとんど用いられず、主に思想史・文学史・歴史研究の文脈で使われる。
例文
- 『孝経』に見られる移孝為忠は、親への孝行を君主への忠義へと転じるという儒教的な考え方である。
- 研究者は、近代日本の教育において移孝為忠の論理が家族道徳と国家への忠誠を結び付けた点を論じた。
- この史料を読む際は、移孝為忠を現代の価値観としてそのまま受け取るのではなく、当時の君臣関係の中で理解する必要がある。
分類
類義語
- 忠孝一致
- 忠孝一如
対義語
- 不忠不孝