甑塵釜魚
読み方:そうじん ふぎょ
意味
きわめて貧しく、食べる物にも事欠く状態のたとえ。米などを蒸す甑は使われないため塵がたまり、釜は長く使われず水がたまって魚がすむほどである、という荒れた台所の情景に基づく。
由来
中国後漢代(1~2世紀ごろ)の人物、范冉(はんぜん)の故事による。『後漢書』独行伝には、困窮しても平然としていた范冉を里人が「甑中に塵を生じ、釜中に魚を生ず」と歌ったとある。この句を縮めて「甑塵釜魚」とした。『後漢書』自体の成立は5世紀。
備考
「甑」は米などを蒸す器。現代の日常会話ではあまり用いない文語的な語である。困窮の程度を強調する表現であり、必ずしも清貧や精神的な泰然さまでを意味するわけではない。
誤用・混同注意
- 「釜」を「ふう」として「そうじんふうぎょ」と読まない。正しくは「そうじんふぎょ」。
- 「甑」は日常的でない字だが、「蒸」「曾」などに書き換えない。
- 魚が食材として豊かなことを表す語ではなく、釜が使われず魚がすむほど困窮しているというたとえである。
例文
- 事業に失敗した直後は、甑塵釜魚といえるほど苦しい暮らしだった。
- 彼は甑塵釜魚の境遇にあっても、学問への志を捨てなかった。
- その記録は、当時の農民の一部が甑塵釜魚の苦境に置かれていたことを伝えている。
分類
類義語
- 一文不名
- 貧困窮乏
- 赤貧洗うがごとし
- 箪食瓢飲