猿鶴之嘆
読み方:えんかく の たん
意味
戦乱・政変・災害などによって、かつて人々が栄え暮らしていた土地が荒廃し、人影が絶えて猿や鶴の住むような寂しい場所になったことを嘆き悲しむ意。転じて、昔の繁栄が失われた変わり果てた景観への深い悲哀をいう。
由来
中国・東晋(4世紀)の桓温の北伐にまつわる逸話を収めた『世説新語』「言語」が出典とされる。桓温がかつて自ら植えた柳が大木になったのを見て、「木猶如此、人何以堪(木でさえこのように変わるのに、人はどうして耐えられようか)」と歳月や旧地の変化を嘆いた話に基づく。『世説新語』は南朝宋の5世紀前半、約430年ごろに成立した。
備考
文章語・漢文調の表現で、日常会話ではあまり用いない。「猿と鶴自身が嘆く」という意味ではなく、人里が荒廃して動物のすみかとなった状況への嘆きである。
別表記
- 猿鶴の嘆
誤用・混同注意
- 「猿と鶴が嘆くこと」と文字どおりに解するのは不正確。
- 戦乱などによる旧地・人里の荒廃を嘆く語であり、単なる動物への哀れみを表す語ではない。
例文
- 戦乱の跡を訪れると、かつての城下町は草木に覆われており、まさに猿鶴之嘆を禁じ得なかった。
- 古写真に残る繁華街が無人の廃墟となった光景に、住民たちは猿鶴之嘆を抱いた。
- この詩は、都が荒れ果てた姿を猿鶴之嘆として描き、失われた繁栄を悼んでいる。
分類
類義語
- 黍離之嘆
- 麦秀之嘆
- 山河之嘆