残杯冷炙
読み方
ざんぱい れいしゃ
意味
他人が飲み残した酒や食べ残した料理のこと。転じて、貧しい者が裕福な人・権力者などから、その余り物のようなわずかな施しや恩恵を受けて暮らすことをいう。そこには、貧困や他者への依存に伴う屈辱・悲哀の含みがある。
由来
中国・唐代(8世紀中ごろ)の詩人、杜甫の「奉贈韋左丞丈二十二韻」にある「残杯与冷炙、到処潜悲辛」に基づく。杜甫が、富裕な人々の家を訪ねては残り物の酒食を得ながら、内心では悲しみや苦しみを抱えていた境遇を詠んだ句である。詩は天宝年間の740年代に作られたとされる。
分類・構成
備考
「炙」はあぶり肉の意で、「灸」とは別字。現代の日常会話ではまれで、貧困、施しへの依存、権力者からのわずかな恩恵などを文語的・批評的に述べる際に使われる。
誤用・混同注意
- 「残杯冷灸」と書くのは誤り。正しくは、あぶる意の「炙」を用いる。
- 「ざんぱいれいせき」などと読むのは誤り。正しくは「ざんぱいれいしゃ」。
- 「残羹冷炙」は同義の別の四字熟語であり、「残杯冷炙」と表記を混同しない。
例文
- 彼は有力者の残杯冷炙に頼るのではなく、自分の仕事で生計を立てようとした。
- 貧困対策を一時的な残杯冷炙のような施しで終わらせず、生活を支える制度として整える必要がある。
- 小説では、宴席の残杯冷炙を待つ人々の姿を通して、厳しい身分格差が描かれている。
類義語
- 残羹冷炙