楽天知命
読み方:らくてん ちめい
意味
天の道理・自然の成り行きを楽しみ、自分に与えられた運命をよく理解して受け入れること。いたずらに将来を心配したり、境遇を恨んだりせず、心安らかに生きる態度をいう。単なる楽天的な楽観主義や、努力を放棄して運任せにすることではない。
由来
中国の古典『易経』の「繋辞上伝」にある「楽天知命、故不憂(天を楽しみ命を知る、ゆえに憂えず)」に基づく。『易経』の本文は古代中国で成立し、繋辞伝などの解説篇は戦国時代から前漢初期(おおむね紀元前4〜前2世紀ごろ)に形成されたと考えられている。天の理法を楽しみ、天命を知る者は憂いがない、という思想を表す。
備考
「楽天」はここでは企業名ではなく、「天の道理を楽しむ」の意。努力や責任を放棄する意味ではなく、尽力後に結果を受け入れる精神的態度を表す。やや漢文調で、日常会話より文章語・教養語として用いられる。
別表記
- 樂天知命
補足
- 「楽天」は単に能天気・楽観的であるという意味ではない。
- 努力せず運命に任せるという意味に解するのは不適切。
- 「楽天知名」「楽天地命」などと誤記しない。
例文
- 予期しない異動ではあったが、彼は楽天知命の心で新しい職場に向かった。
- 老後の暮らしについて必要以上に不安がるより、楽天知命の境地で日々を大切にしたい。
- 失敗をすべて運命のせいにするのではなく、努力を尽くした上で楽天知命と考えることが大切だ。
分類
類義語
対義語
- 怨天尤人
- 杞人之憂