易簀之年
読み方:えきさく の とし
意味
死期が近づいた老年、または人が死を迎える年齢をいう。もとは臨終の際に寝床の簀(竹などで編んだ敷物)を取り替えることを指し、転じて人生の最期が近いことのたとえとなった語。
由来
中国古典「礼記」檀弓上にある、孔子の弟子・曾子(そうし)の故事に基づく。病床の曾子は、自分の身分にはふさわしくない大夫用の立派な簀を使っていることに気づき、死の直前にそれを取り替えさせた。この「簀を易える(かえる)」行為が「易簀」となり、臨終・死期の近さを表すようになった。「礼記」は戦国時代から前漢期(おおむね紀元前3世紀〜紀元前1世紀頃)に成立したとされる。
備考
現代の日常会話ではほとんど用いない文語的・雅語的な表現である。他人について直接用いると、死期を断定する響きがあり無礼になりうるため注意が必要。
別表記
- 易簀の年
誤用・混同注意
- 「簀」を「席」などと書き誤らない。正しくは竹などを編んだ敷物を表す「簀」である。
- 「易簀」を「いせき」などと読まない。読みは「えきさく」である。
- 単に長寿・高齢を祝う語ではなく、臨終や死期の近さを含意する語である。
例文
- 祖父は易簀之年にあっても、毎朝欠かさず庭の手入れをしている。
- 作家は易簀之年を迎えてなお、生涯を回顧する作品を書き続けた。
- その手紙には、易簀之年に至った父が家族へ伝えた感謝の言葉が記されていた。
分類
類義語
- 老年
- 晩年
- 桑楡晩景
- 風前之灯
対義語
- 若年
- 青春時代