斉紫敗素
読み方
せいし はいそ
意味
有力者の好みや一時の流行が広まることで、本来は価値のあるもの・正しいものが顧みられず、価値や評価が逆転すること。斉の国で紫色が流行したため、白絹が安くなり用いられなくなった故事に基づく。転じて、好ましくないものが良いものを圧迫するたとえにもいう。
由来
『韓非子』外儲説左上(戦国時代、紀元前3世紀ごろ成立)にある故事に基づく。春秋時代の斉の桓公(在位:紀元前685年ごろ~紀元前643年)が紫の服を好んだため、国中の人々も紫を競って着るようになり、「五素不得一紫(白絹五反でも紫一反に及ばない)」ほど白絹の価値が下がったという。この逸話を「斉の紫が素を敗る」と要約した語である。
分類・構成
備考
「斉」は「一斉」の意味ではなく、春秋時代の国名である。「素」は白い絹、または白色を指す。日常会話よりも、故事成語として文章語・論評で用いられる。
誤用・混同注意
- 「済紫敗素」と書くのは誤り(正しくは「斉紫敗素」)。
- 「斉」を「同じにする」「一斉」の意味と解するのは誤りで、この語では国名の「斉」を指す。
例文
- 流行のブランドばかりがもてはやされ、質素で丈夫な品が売れない状況は、まさに斉紫敗素である。
- 首長の好みを皆が競ってまねる組織では、斉紫敗素となり、実用的な案が退けられかねない。
- 目新しい情報だけが拡散され、地道な検証が軽んじられるのは、現代版の斉紫敗素ともいえる。
類義語
- 紅紫乱朱
- 上行下効
- 悪貨は良貨を駆逐する
対義語
- 朱紫分明
- 是非分明