帝網無尽
読み方:たいもう むじん
意味
仏教、とくに華厳宗でいう、あらゆる存在が独立しているのではなく、無数の関係の中で互いに影響し合い、支え合っているという考え方。帝釈天の網の各結び目にある宝珠が、他のすべての宝珠を映し出す姿にたとえ、世界のつながりが限りなく重なり合うことを表す。
由来
「帝網」は帝釈天(インドラ)の宮殿を覆う網、「無尽」は尽きることがない意。インドで成立した大乗仏教の『華厳経』(おおむね1~4世紀ごろに成立)に由来する帝釈天の網の比喩をもとに、中国の華厳教学で発展した語である。日本には奈良時代(8世紀)に華厳宗の思想とともに伝わり、万物が相互に関係し合う「縁起」のあり方を示す語として用いられる。
備考
日常会話で用いることは少なく、仏教・哲学・芸術評論などで見られる専門性の高い語。「網」が単なるネットワークを指すのではなく、万物の相互依存を表す点に注意する。
別表記
- 帝網無盡
補足
- 「帝網無盡」と書くのは旧字体を用いた表記であり、現代表記では通常「帝網無尽」と書く。
- 単に「人間関係が広い」「情報網が大きい」という意味ではなく、万物が相互に関係し合うという華厳思想を表す語である。
例文
- 環境問題を考える際には、人間と自然の関係を帝網無尽のものとして捉える視点が必要だ。
- 一つの小さな行動が社会全体に影響するという考え方は、帝網無尽の思想に通じる。
- 教授は、インターネット上の情報のつながりを例に挙げて、帝網無尽を説明した。