一即一切
読み方:いちそく いっさい
意味
仏教、特に華厳思想の語。一つの存在・現象の中には、他のあらゆる存在・現象が関わり合って含まれており、「一」はそのまま「すべて」であるという考え方をいう。個と全体が互いに切り離せず、融け合っていることを表す。
由来
大乗仏教の経典である華厳経に基づく華厳思想の教え。「一即一切、一切即一(一つはすべてであり、すべては一つである)」という形でもいう。華厳経は古代インドで成立した経典群で、中国では5世紀以降に漢訳され、隋・唐代(6~9世紀)に華厳宗の教学として体系化された。四字の簡潔な形がいつ定着したかは明確ではない。
備考
主に仏教・哲学の文脈で用いる語で、日常会話では一般的ではない。「一切即一」と対にして、個と全体の相互依存・相互包摂を表すことが多い。
誤用・混同注意
- 単に「一つが数量上すべてと等しい」という意味ではなく、華厳思想における個と全体の相互依存・相即を表す語である。
例文
- 華厳思想の一即一切という見方からは、一枚の葉にも宇宙全体とのつながりを見いだせる。
- 地域の小さな課題も社会全体に関わるという点で、一即一切の考え方は示唆に富む。
- 彼は一即一切の思想を手がかりに、個人と共同体の関係を論じた。