尺蠖之屈
読み方:しゃくかく の くつ
意味
尺取り虫が体を縮めるのは、次に前へ伸びるためであることから、一時的に身を引いたり屈服したりすることが、将来の発展・飛躍を図るための準備となることをいう。単なる敗北や消極的な後退ではなく、目的を達成するための忍耐強い譲歩や退却を表す。
由来
中国古典『易経』の「繋辞下」にある「尺蠖之屈、以求信也(尺蠖の屈するは、もって伸びんことを求むるなり)」に基づく。「信」は「伸」と通じ、尺取り虫が体を屈めるのは前へ伸びるためだ、というたとえである。『繋辞伝』の成立時期は戦国時代から前漢期(およそ紀元前4〜2世紀ごろ)とされるが、確定していない。
備考
「尺蠖」は尺取り虫のこと。「一時的に屈する」ことを前向きに捉える語であり、無原則な迎合や、再起の意思を伴わない単なる敗北には通常用いない。
誤用・混同注意
- 「尺蠖」は「しゃくとりむし」ともいうが、熟語としては通常「しゃくかくのくつ」と読む。
- 「信」は本文では「伸」の意味で用いられており、「信用を求める」という意味ではない。
例文
- 交渉であえて譲歩するのは、より大きな合意を得るための尺蠖之屈だ。
- 彼は一時的な配置転換を尺蠖之屈と受け止め、次の機会に備えて力を蓄えた。
- 事業からの撤退も、再起を期した尺蠖之屈であれば、必ずしも失敗とはいえない。
分類
類義語
対義語
- 勇往邁進
- 直往邁進