大悲闡提
読み方:だいひ せんだい
意味
大乗仏教で、自分だけが涅槃・成仏することを求めず、大きな慈悲によって、すべての衆生を救うまで迷いの世界にとどまろうとする菩薩をいう。一闡提が本来もつ「悟りに至れない者」という否定的な意味を、衆生済度のためにあえて成仏を急がない菩薩という積極的な意味に転じた語。
由来
「闡提」はサンスクリット語icchantika(イッチャンティカ)の音写で、原義は欲望の強い者、転じて仏法を信ぜず悟りに至れない者を指す。『楞伽経』などの大乗仏典では、一闡提のうち、大悲のために自らの涅槃に入らず衆生を救おうとする菩薩を「大悲闡提」と説く。漢訳仏典としては中国の5世紀ごろに成立・伝来した思想に基づく。
備考
日常会話で使う語ではなく、主に仏教学・大乗仏教の文脈で用いる専門語。「闡提」を単に悪人・救われない者の意味に取ると、大悲闡提の含意を誤解しやすい。
誤用・混同注意
- 「闡提」を一般的な悪人や救済不能者の意味だけで解釈するのは不十分である。大悲闡提では、衆生救済のためにあえて涅槃に入らない菩薩を指す。
- 「だいひいっせんだい」と読むのは誤り。標準的な読みは「だいひせんだい」。
例文
- 大乗仏教では、すべての衆生の救済を願う菩薩を大悲闡提になぞらえて説くことがある。
- 講義では、大悲闡提とは自らの涅槃を急がず、苦しむ衆生に寄り添う菩薩の姿だと説明された。
- この論文は、大悲闡提の思想を手掛かりに、利他を徹底する菩薩行を論じている。
分類
類義語
- 菩薩一闡提
- 大悲菩薩