嗟来之食
読み方:さらい の しょく
意味
人を見下し、侮辱するような態度で与えられる食べ物や施しのこと。また、どれほど困窮していても、人格や尊厳を傷つけるような援助は受けないという気概を表す場合にもいう。
由来
中国古典『礼記』の「檀弓下」にある故事に基づく。成立は前漢から後漢にかけて(おおむね紀元前1世紀~紀元1世紀ごろ)とされる『礼記』で、斉の大飢饉の際、黔敖という者が飢えた人に「嗟、来たれ、食らえ」と横柄に食を差し出した。飢えた者は「私はそのように呼びつけて与えられる食を食べなかったために、このようになったのだ」と拒み、ついに食べずに死んだという。
備考
現在は実際の食物に限らず、相手の自尊心を傷つけるような援助・施し全般に用いる。故事では受け取りを拒む気概が強調されるが、現代では支援する側の配慮を戒める文脈でも使われる。
別表記
- 嗟来の食
- 嗟來之食
誤用・混同注意
- 「嗟来」は「さき」などとは読まず、「さらい」と読む。
- 単に無料の食事や援助を指す語ではなく、見下す態度を伴う施しをいう。
- 「差来之食」「嗟来の職」などの表記は誤り。
例文
- 支援を受ける人の尊厳を傷つける嗟来之食にならないよう、食料配布の方法を見直した。
- 彼は高圧的な態度で差し出された援助を、嗟来之食だとして受け取らなかった。
- 善意からの寄付であっても、相手を見下せば嗟来之食と受け取られかねない。
分類
類義語
- 侮辱的な施し
- 屈辱的な援助
- 見下した施与
対義語
- 温情厚意
- 敬意ある援助
- 対等な支援