厭離娑婆
読み方:おんり しゃば
意味
苦しみや迷いに満ちたこの世(娑婆世界)を嫌い、そこから離れようとすること。浄土教では、現世への執着を離れ、阿弥陀仏の浄土への往生を願う姿勢をいう。単なる現実逃避ではなく、迷いを離れて救い・悟りを求める宗教的な願いを表す。
由来
仏教語。「厭離」は嫌って離れること、「娑婆」はサンスクリット語sahā(堪忍)の音写で、苦しみや忍耐の多い人間世界を指す。インド仏教に由来する「娑婆世界を離れ、清浄な世界を願う」という思想を背景とし、日本では平安時代後期(11世紀ごろ)以降、浄土教の広まりとともに用いられた。「欣求浄土」と対にして説かれることが多い。特定の一作品を唯一の典拠とする語ではない。
備考
主に仏教・浄土教の文脈で用いる語。対句の「厭離娑婆・欣求浄土」は、現世への執着を離れ浄土を願うことを表す。日常会話で使うことは少ない。
誤用・混同注意
- 標準的な読みは「おんりしゃば」であり、「えんりしゃば」と読むのは一般的ではない。
- 「厭離娑婆」を単なる現実逃避の意味に限定するのは不正確で、浄土への往生・救済を願う宗教的姿勢を含む。
- 「厭離穢土」は近い仏教語だが、別の表記・語である。
例文
- 僧は厭離娑婆の思いを深め、阿弥陀仏への念仏を唱えた。
- 中世の浄土教では、厭離娑婆と欣求浄土が対になる理念として重視された。
- この来迎図には、苦しみの多い現世を離れたいという厭離娑婆の願いが表れている。