八不中道
読み方:はっぷ ちゅうどう
意味
仏教、特に中観思想でいう中道の考え方。「生・滅」「常・断」「一・異」「来・出」という八つの見方を、いずれも「不」として否定し、物事には固定不変の実体があるという執着や、両極端の見解を離れることをいう。
由来
インドの僧・竜樹(ナーガールジュナ、2~3世紀頃)の著作とされる『中論』の冒頭にある「不生亦不滅、不常亦不断、不一亦不異、不来亦不出」という八つの否定に基づく。これを中国で鳩摩羅什が405年頃に漢訳した『中論』で「八不」と呼び、中道を示す教えとして「八不中道」と称するようになった。
備考
日常的な「ほどよい妥協」や単なる中間案を指す語ではない。仏教哲学における専門用語であり、「八正道」とは別の概念である。
補足
- 「八正道」と混同しない。八正道は正しい実践の八項目をいう別の仏教語である。
- 「八不」を「はちふ」と読まず、通常は「はっぷ」と読む。
例文
- 八不中道の思想は、存在を有るか無いかのどちらか一方に決めつける見方を戒める。
- 研究者は『中論』における八不中道を手掛かりに、竜樹の空の思想を解説した。
- 意見の対立を安易に折衷することが八不中道なのではなく、両極への執着を離れることが重要である。
分類
類義語
- 中道
- 八不
- 八不縁起
対義語
- 常見
- 断見