以信得入
読み方:いしん とくにゅう
意味
仏の教えや悟りの境地には、まず深く信じる心によって入ることができる、という意味。仏法を理解するうえで、理屈や知識だけでなく信心が入口となることをいう。
由来
中国仏教の論書『大智度論』に見える「仏法大海、信為能入、智為能度(仏法という大海には信によって入り、智慧によって渡る)」という句に基づく。『大智度論』は龍樹の著作と伝えられ、現存する漢訳は鳩摩羅什によって後秦の402~406年頃に訳出されたとされる。「以信得入」はその趣旨を四字にまとめた表現である。
備考
日常会話ではあまり用いない仏教語。原典では「信為能入、智為能度」と対にされ、信だけを絶対視するのでなく、信を入口、智慧を教えを究める力と捉える。
誤用・混同注意
- 「以心伝心」と混同して「以心得入」と書くのは誤り。第二字は「心」ではなく「信」。
- 「信じさえすれば無条件に悟れる」という意味ではない。原典では、入るための信と、渡り究めるための智慧が併記されている。
例文
- 師は、難解な経典を学ぶ際にも、まず以信得入の姿勢が大切だと説いた。
- 以信得入という言葉は、仏教の教えに入るための入口として信心を重んじる考えを表す。
- 彼女は以信得入の心で教えに耳を傾け、学びを重ねるうちに理解を深めていった。