人法二空
読み方:にんぽう にくう
意味
仏教語。人(人格・自己)にも法(事物・現象・教えを含む一切の存在)にも、独立して永遠に変わらない実体はないということ。「人空」と「法空」の二つの空の教えをいう。単に何も存在しないという虚無論ではなく、すべては因縁によって成り立つと見る考え方である。
由来
インド大乗仏教で発展した「人空(人我が空であること)」と「法空(諸法が空であること)」の教説に基づく仏教語である。概念自体は大乗仏教の成立期から展開し、特に4~5世紀ごろに体系化された瑜伽行派・唯識思想などで重視された。中国仏教を経て日本にも伝来したが、この四字の形に限定した単一の原典・成立年は特定しにくい。
備考
主に仏教学・宗教哲学で用いる専門語で、日常会話ではほとんど使わない。「空」は「無」や単純な虚無を意味するのではなく、独立不変の実体性がないことをいう。
誤用・混同注意
- 「人法二空」を「人も法もまったく存在しない」という意味の虚無論として理解するのは不正確。
- 「人法二空」は「人空」と「法空」の二つを併せた語であり、「人法」を一つの対象としてのみ解釈しない。
例文
- 大乗仏教では、人法二空を悟ることによって、自己や物事への執着から離れると説く。
- 講師は、人法二空とは、人にも現象にも固定不変の本質はないという教えだと説明した。
- 人法二空の見方に立てば、自分の立場や制度を絶対視する態度を見直す契機になりうる。
分類
類義語
- 我法二空
- 人法両空
- 二無我
対義語
- 我法二執
- 実我実法