三車火宅
読み方:さんしゃ かたく
意味
仏教語。迷いや煩悩、苦しみに満ちたこの世(三界)を、燃えさかる家である「火宅」にたとえ、そこから人々を救い出すために仏が用いる三乗の教えを「三車」にたとえた語。『法華経』の有名な譬喩を指す。
由来
『法華経』譬喩品の「三車火宅」の譬えに由来する。火事になった家で遊ぶ子どもたちを父親が羊車・鹿車・牛車という三つの車で誘い出す話で、火宅は迷いの世界、三車は衆生を導く方便としての三乗を表す。『法華経』は紀元1~2世紀頃に成立したとされ、鳩摩羅什による漢訳『妙法蓮華経』は406年頃に訳出された。
備考
日常会話で比喩的に使う語ではなく、主に仏教・法華経の教義を説明する文脈で用いる。三車は羊車・鹿車・牛車を指し、最終的には一仏乗へ導くという解釈と結び付く。
誤用・混同注意
- 「三界火宅」と混同しない。三界火宅は、三界そのものを火宅にたとえる別の仏教語。
例文
- 『法華経』の譬喩品では、三車火宅の譬えによって、仏が衆生を迷いの世界から救う教えが説かれている。
- 講師は三車火宅を取り上げ、三車が衆生を導くための方便を表すと解説した。
- 欲望や争いにとらわれた世を火宅として見る三車火宅の思想は、仏教の救済観を理解する手がかりになる。
分類
類義語
- 三界火宅
- 火宅
- 三乗方便
対義語
- 涅槃寂静
- 安穏無為