三世実有
読み方:さんぜ じつう
意味
仏教、とくに説一切有部の立場で、過去・現在・未来の三世にわたるすべての法(存在・現象)は、実体として存在するとする考え方。現在だけでなく、過去の法や未来の法にも何らかの実在性を認める説をいう。
由来
インド仏教の部派仏教に属する説一切有部(サルヴァースティヴァーダ)が説いた「一切の法は存在する」という教理に基づく漢訳仏教語である。説一切有部は紀元前後から紀元2世紀頃に発展し、この思想は『阿毘達磨大毘婆沙論』や、4〜5世紀頃に成立した世親の『倶舎論』などで論じられた。「三世」は過去・現在・未来、「実有」は実在することを表す。
備考
「三世」は祖父母・父母・子といった三代ではなく、過去・現在・未来を指す。日常会話で用いる四字熟語ではなく、主に仏教学・宗教学の専門用語として使われる。
別表記
- 三世實有
誤用・混同注意
- 「三世」を三代・三世代の意味に解するのは誤り。この語では過去・現在・未来を指す。
- 「三世実在」は意味の説明としては近いが、定着した術語・四字熟語は「三世実有」である。
例文
- 説一切有部は、過去・現在・未来の法が実在するとする三世実有の立場を採った。
- 三世実有の説を理解するには、仏教における「法」が何を指すかを確認する必要がある。
- 授業では、三世実有と過未無体の対立を通して、部派仏教の存在論を学んだ。
分類
類義語
- 一切有
- 法体恒有
対義語
- 過未無体