万法皆空
読み方:まんぽう かいくう
意味
宇宙に存在するあらゆるもの(万法)は、独立して変わらない実体をもたず、さまざまな原因や条件によって仮に成り立っているという仏教の考え方。「空」は単なる無・虚無ではなく、固定的な実体がないことをいう。
由来
仏教、特に般若経系の「空」の思想に基づく語である。インドで紀元前後から数世紀ごろに形成された般若思想・中観思想が、中国で漢訳仏典を通じて受容される過程で広まった。「万法」は一切の存在・現象、「皆空」はすべて実体がなく空であることを表す。特定の一書だけを典拠とする故事成語ではなく、仏教教理を要約した表現として用いられる。
備考
「空」を「何も存在しない」という虚無論と解するのは不正確である。縁起によって成り立つため、固定不変の実体がないという意味であり、仏教思想の文脈で使われることが多い。
別表記
- 萬法皆空
誤用・混同注意
- 「空」を単なる『無』や『無意味』の意味に解するのは誤解である。
- 「万法皆無」と取り違えないよう注意する。
例文
- 万法皆空の教えに触れ、物事への執着を少し手放せるようになった。
- 僧侶は、万法皆空とは世の中が無意味だということではない、と説いた。
- 作品では万法皆空の思想を背景に、移ろいゆく人の心が描かれている。
分類
類義語
対義語
- 万法実有
- 実体視