一念無明
読み方:いちねん むみょう
意味
仏教語。一瞬の心に起こる迷い、または人が真理を知らない根本的な無知・迷妄をいう。無明があるために執着や煩悩が生じ、苦しみの輪廻が続くと考えられる。「一念」は単なる短い時間ではなく、心に生じる一つの思いを指す。
由来
「無明」はサンスクリット語 avidyā(真理を知らないこと)の漢訳で、古代インド仏教以来の重要な概念である。「一念無明」という表現は、中国・隋代の天台教学で用いられ、智顗が説いた6世紀末(594年ごろ成立)の『摩訶止観』などに見られる。一念に起こる迷いと仏性・法性との関係を論じる語として、日本の天台宗・日蓮宗などにも受け継がれた。
備考
主に仏教教学・宗教思想の文脈で用いる専門語である。「無明」は「むみょう」と読み、照明がないという意味の「暗闇」とは異なる。日常会話で使われることは多くない。
誤用・混同注意
- 「無明」を「むめい」と読まない。正しい読みは「むみょう」。
- 日常語の「一念(強い決意)」と混同しない。ここでは心に生じる迷妄の一念をいう。
例文
- 天台教学では、一念無明がさまざまな煩悩や迷いの起点として説かれる。
- 修行者は、自分の一念無明を見つめ、智慧を育てようと努めた。
- この文章の一念無明は、単なる暗い気分ではなく、真理を知らない根本的な迷いを意味している。
分類
類義語
- 無明煩悩
- 迷妄
- 煩悩
対義語
- 菩提
- 般若の智慧