一実相印
読み方:いちじつそういん
意味
一切の存在・現象(諸法)には、究極的には一つの真実のあり方(実相)があるとし、それを仏法が正しいかどうかを示す基準である「法印」とする考え方。大乗仏教では、諸法実相の教えを唯一の法印として、三法印を包み込むものと説く。
由来
インドで成立し、龍樹に帰せられる仏教論書『大智度論』に基づく語。同書には「摩訶衍中説一法印、所謂諸法実相(大乗では一つの法印を説く。それが諸法実相である)」とある。『大智度論』は後秦の鳩摩羅什によって弘始4年(402年)頃から弘始7年(405年)頃に漢訳されたとされ、この「諸法実相」を唯一の法印とみなす教説から「一実相印」が成立した。原典の正確な成立年には諸説ある。
備考
日常会話で比喩的に使う語ではなく、主に仏教学や宗派教学で用いる専門語である。「印」は印鑑のことではなく、教えが仏説にかなうことを証明する標識(法印)をいう。
別表記
- 一實相印
例文
- 天台教学では、一実相印の立場から、さまざまな教えを諸法実相へ帰結するものとして説明する。
- 講義では、三法印と一実相印がどのような関係にあるかを学んだ。
- この注釈書は、一実相印を仏法の真偽を見極める基準として位置づけている。
分類
類義語
- 諸法実相
- 一法印