一人有慶
読み方
いちにん ゆうけい
意味
君主・為政者一人が幸福であり、善い政治を行えば、その恩恵によって多くの人民も安泰で幸福になるということ。「一人」は一般の一個人ではなく、天子・君主を指す。為政者のあり方が国民全体に大きく影響することをいう。
由来
中国の古典『書経』の「呂刑」にある「一人有慶、兆民頼之(いちにんけいあり、ちょうみんこれをたのむ)」に基づく。伝承上は周の穆王(前10世紀頃)に関わる篇とされ、君主がよく治めて幸福であれば、万民がこれを頼みとして安らぐ、という統治思想を表した言葉である。
分類・構成
備考
現代の日常会話ではほとんど使われない、漢文調で格調高い表現。「一人」は単なる一人の人ではなく君主を指すため、個人の慶事についていう語ではない。君主中心の古い統治観を背景とする。
誤用・混同注意
- 「一人」を単に一個人の意味と解し、「一人だけが喜ぶこと」の意味で用いるのは誤り。
- 「一人有慶、兆民頼之」が出典上の句であり、「一人有慶」はその前半を四字熟語として用いた形である。
例文
- 為政者は一人有慶の理念を忘れず、国民の暮らしを第一に考えるべきだ。
- 新しい君主の善政をたたえ、臣下は一人有慶、兆民頼之という故事を引いた。
- 組織の長の判断は構成員全体に及ぶため、一人有慶のような責任感が求められる。
類義語
- 一人有福
- 君子万年