食い物のあるのに鉄砲汁
読み方:くいもの の ある のに てっぽうじる
意味
生活や目的を満たす安全な手段がすでにあるのに、あえて危険なことを選び、身や命を危うくすることのたとえ。食べ物があるにもかかわらず、毒に当たれば命を落としかねないフグの汁を食べる、という意からいう。
由来
「鉄砲汁」は、フグ(河豚)を入れた汁をいう。フグは毒に「当たる」と命にかかわることがあり、江戸時代にはその危険性を鉄砲になぞらえて「鉄砲」と呼ぶ俗称が広まった。食べ物に困っていないのに、あえて危険なフグ汁を食べるという情景から生じたたとえである。個別の初出や正確な成立年は不詳。
備考
現在のフグ料理は、免許を持つ調理師による適切な処理を前提として提供される。本来はフグ食の危険性を背景にした比喩であり、現代の日常会話ではやや古風な表現である。
補足
- 「食べ物があるのに汁物まで作る無駄」をいうことわざと解するのは誤り。安全な選択肢があるのに、フグ汁のような危険をあえて選ぶことをたとえる。
例文
- 安全な手順で済む仕事なのに、無許可の近道を選ぶとは、食い物のあるのに鉄砲汁だ。
- 十分な収入があるのに、生活費まで危ない投機につぎ込むのは、食い物のあるのに鉄砲汁と言うほかない。
- 安全性の確認された薬があるのに、正体不明の薬を試すのは、食い物のあるのに鉄砲汁ではないか。
分類
類義語
- 危ない橋を渡る
- 危険を冒す
- 火中の栗を拾う
対義語
- 君子危うきに近寄らず
- 石橋を叩いて渡る
- 用心に越したことはない