述べて作らず、信じて古を好む
読み方:のべて つくらず、しんじて いにしえを このむ
意味
昔から伝わる知恵や学問を忠実に伝えることを重んじ、自分で新説を作り出すことはしない、という意味。孔子が、自分は古来の教えを信頼して後世に伝える者であると、謙遜して述べた言葉である。転じて、伝統を尊重し、先人の知識を学び継承する態度を表す。
由来
中国春秋時代の思想家・孔子の言葉で、成立は紀元前5世紀ごろとされる。孔子の没後、弟子たちによって編まれた『論語』の「述而」篇にある「述而不作、信而好古」が出典。孔子が、自らは古い聖人の教えを述べ伝えるのであって、勝手に新しい学説を作るのではないという謙遜の姿勢を示した。
備考
現代では、単に古いものを無批判に崇拝する意味ではない。孔子の謙遜を含む言葉であり、古典・伝統への信頼と、その教えを正確に伝える態度を表す。
別表記
- 述而不作、信而好古
- 述べて作らず、信じていにしえを好む
誤用・混同注意
- 「古い考えだけを守り、新しい考えを一切認めない」という意味に限定するのは不正確。原義は、古来の教えを信じて伝えるという孔子の謙遜である。
- 「作らず」を『何も制作・創作しない』という日常的な意味だけで解するのは不十分。ここでは主に、独自の学説を作為的に立てないという意味である。
例文
- 研究の基礎には先行研究の正確な理解が欠かせない。まずは「述べて作らず、信じて古を好む」の姿勢で古典を読み直そう。
- 師は「述べて作らず、信じて古を好む」と語り、伝統芸能の型を忠実に受け継ぐことの大切さを説いた。
- 彼の講義は独自の思いつきよりも古典の解釈を重んじており、まさに述べて作らず、信じて古を好む学風だ。
分類
類義語
- 温故知新
- 古きをたずねて新しきを知る
- 故きを温ねて新しきを知る
対義語
- 独創を尊ぶ
- 新奇を好む
- 創意工夫