虫も殺さぬ
読み方:むし も ころさぬ
意味
虫一匹さえ殺さないほど、穏やかで害のなさそうな様子をいう。多くは「虫も殺さぬ顔をして」の形で、実際にはしたたかだったり悪事を隠したりしている人が、無邪気で善良そうに見せる様子を皮肉に表す。文脈によっては、純粋に心の優しい人を褒める意味にもなる。
由来
特定の中国典籍や外国の格言に由来するものではなく、「虫さえ殺さない」を極端な比喩として用いた日本語の慣用表現と考えられる。初出文献や成立した年代は未詳で、特定の年・時代を示せる資料は明確ではない。
備考
単独よりも「虫も殺さぬ顔(をする)」「虫も殺さぬような人」の形で用いるのが自然。「ぬ」は文語の打消しである。ほめ言葉にもなるが、見せかけの善良さをいう皮肉で使われやすい。
別表記
- 虫も殺さない
- 虫も殺さぬ顔
- 虫も殺さぬような顔
補足
- 「虫も殺せぬ」とするのは別の意味になりやすい。「殺さぬ」は『殺さない』、「殺せぬ」は『殺せない』である。
- 文字どおり虫を殺さない事実だけを指すと解するのは不十分。多くは「虫も殺さぬ顔」のように、無害・善良そうな外見を皮肉にいう。
例文
- 彼は虫も殺さぬような口調で話すが、交渉では決して譲らない。
- 虫も殺さぬ顔をして人をだましていたとは、だれも気づかなかった。
- 祖母は虫も殺さぬ人柄で、庭に入った虫さえそっと外へ逃がしていた。
分類
類義語
- 仏のように優しい
- 温厚篤実
- 善人ぶる
- 猫をかぶる
対義語
- 血も涙もない
- 鬼のように残酷だ
- 残忍非道
対比・対照ことわざ
- 羊の皮をかぶった狼
- 仏の顔も三度まで