虎の尾を履む
読み方:とら の お を ふむ
意味
非常に危険なこと、または権力者・強者の怒りを買いかねない行為に、あえて手を出すことのたとえ。文字どおり虎の尾を踏めば襲われるおそれがあることからいう。危険を承知で大胆な行動を取る場合や、きわめて危うい立場に身を置く場合に用いる。
由来
中国最古級の儒教経典の一つである『易経』(周易)の「履(り)」の卦にある「履虎尾、不咥人、亨(虎の尾を履むも、人を咥まず、亨る)」に基づく。虎の尾を踏むほどの危険に直面しても、慎み深く正しく振る舞えば虎にかまれず物事が通る、という趣旨である。『易経』の成立・編纂時期には諸説あるが、原型は中国の西周から春秋・戦国時代(紀元前9~3世紀ごろ)に形成されたとされる。日本語では訓読形の「虎の尾を履む」が定着し、主に「危険を冒す」の意味で使われるようになった。
備考
「履む」はここでは「ふむ」と読む。「履く(はく)」と混同しないよう注意する。現代語では「虎の尾を踏む」と書くことも多い。原典には「踏んでも虎が人をかまない」という成功の含みがあるが、今日では危険性を強調して使われることが多い。
別表記
- 虎の尾を踏む
- 虎の尾をふむ
誤用・混同注意
- 「履む」を「はく」と読むのは誤りで、この表現では「ふむ」と読む。
- 原典の「虎が人をかまない」という部分を無視して、必ず失敗・被害を受けるという意味だとするのは正確ではない。
例文
- 大企業の不正を告発するのは、取引先との関係を考えれば虎の尾を履むような行為だった。
- 独裁的な上司の方針を会議で真っ向から批判するとは、虎の尾を履むことになりかねない。
- 十分な資金も調査もないまま海外市場へ参入するのは、虎の尾を履むような賭けだ。