蘭は深山にありて自ら芳し
読み方:らん は しんざん に ありて みずから かんばし
意味
蘭は人のいない深い山に咲いていても、誰に見られなくても自然に良い香りを放つということ。転じて、真に優れた人の徳・才能・人格は、目立つ場所にいなくても本来の価値を失わず、おのずと現れることをいう。
由来
中国の古典『孔子家語(こうしけご)』「在厄」篇にあるとされる「芝蘭生於深林、不以無人而不芳(芝蘭は深林に生じ、人無きを以て芳しからずとせず)」という句に基づく。君子は困窮や無理解によって節操を変えない、という教えの一部である。『孔子家語』の現行本は魏代(3世紀)頃の成立とされる一方、内容や成立事情には議論がある。日本ではこの思想を簡潔な漢文調にした「蘭は深山にありて自ら芳し」が定着した。
備考
「芳し」は現代語の「かんばしい」の文語的な形。日常会話より、文章・講話・座右の銘などで用いられる。才能だけでなく、徳や人格の尊さをたたえる文脈に適する。
例文
- 人目につかない地方の研究所で長年研究を続けた彼は、蘭は深山にありて自ら芳しというように、ついに世界的な評価を受けた。
- 今は作品が売れなくても、蘭は深山にありて自ら芳しを信じて、質の高い仕事を積み重ねよう。
- 先生は、周囲の評判に振り回される生徒に対し、「蘭は深山にありて自ら芳しだ。まず自分の学びを深めなさい」と諭した。
分類
類義語
- 桃李もの言わざれども下自ら蹊を成す
- 芝蘭生於深林、不以無人而不芳