蓼の虫葵を忘れず
読み方:たで の むし あおい を わすれず
意味
苦い蓼を食べて暮らす虫でも、以前に食べた葵の味は忘れないという意から、苦しい境遇や質素な生活にあっても、昔親しんだ楽しみ・豊かな暮らし・故郷などを忘れられないことのたとえ。過去の恩恵や慣れ親しんだものへの思いが残る場合にもいう。
由来
「蓼を食う虫であっても、かつて口にした葵の味を忘れない」というたとえを人情に移した日本のことわざ。正確な初出や成立年は未詳だが、江戸時代には伝承されていたと考えられ、尾張いろはかるたの「た」の札としても知られる。特定の中国古典などを典拠とする確かな記録はない。
備考
現在の日常会話では多用されず、文章語・教訓的な表現として用いられる。「葵」は植物名であり、「青い」と書くのは誤り。「蓼食う虫も好き好き」とは意味が異なる。
別表記
- 蓼の虫、葵を忘れず
- 蓼の虫、あおいを忘れず
誤用・混同注意
- 「葵」を色を表す「青い」と書くのは誤り。ここでは植物の葵を指す。
- 「蓼食う虫も好き好き」と混同し、『人の好みはさまざま』という意味に解釈するのは誤り。
- 単に『昔の技術を忘れない』という意味で使うのは不正確で、主に昔の楽しみ・豊かさ・故郷などへの忘れがたい思いをいう。
例文
- 不況で生活が苦しくなっても、祖父は蓼の虫葵を忘れず、若いころ通った寄席の話を楽しそうに語った。
- 都会で成功した彼女は、蓼の虫葵を忘れず、毎年欠かさず故郷の祭りへ帰っている。
- 昔のぜいたくな暮らしをなかなか改められない父を見て、蓼の虫葵を忘れずという言葉を思い出した。