盗人にも仁義あり
読み方:ぬすっと にも じんぎ あり
意味
盗みを働く者のような悪人の世界にも、仲間内で守るべき義理・規則・道徳があるという意味。転じて、一般に非難されるような人や集団にも、それなりの筋道や不文律があることをいう。犯罪や不正を正当化したり、盗人を褒めたりする意味ではない。
由来
中国・戦国時代(紀元前4〜3世紀ごろ)に成立したとされる『荘子』の「胠篋(きょきょう)」篇にある「盗亦有道(盗人にもまた道がある)」に由来する。盗賊にも盗賊なりの作法・規律があるという話を、日本語で「仁義あり」と表したものとされる。現在の日本語の形がいつ定着したかは明確ではない。
備考
「仁義」は本来、他者を思いやる心と正しい道理を指す。ここでは主に、盗賊仲間などの内部にある義理や掟の意味で用いる。盗賊を美化・容認する表現ではない。
別表記
- 盗人にも仁義
- 盗人にも仁義がある
誤用・混同注意
- 犯罪者にも立派な道徳があるとして、盗みや不正を正当化・称賛する意味で使うのは不適切。
- 「盗人にも三分の理」と完全に同義とするのは不正確。「盗人にも三分の理」は盗人側にも一応の言い分・事情があることをいい、本句は仲間内の義理や掟に重点がある。
例文
- 仲間の情報を警察に売るのは、盗人にも仁義ありというから、彼らの世界でも許されない行為らしい。
- 困っている人からは奪わないと言う男を見て、祖父は「盗人にも仁義あり、ということか」とつぶやいた。
- 競争相手の顧客名簿を盗むのは、盗人にも仁義ありで、業界の暗黙のルールにさえ反している。
分類
類義語
- 盗亦有道
- 盗人にも三分の理
- 悪人にも五分の魂
対比・対照ことわざ
- 盗人にも三分の理
- 盗亦有道