沐猴にして冠す
読み方:もっこう にして かんす
意味
猿に冠をかぶせて人間らしい姿に見せても、本性まで人間らしくなるわけではないということ。外見や地位・肩書きだけは立派でも、教養や品格、実質が伴わない人をあざけっていう。
由来
中国・前漢の司馬遷『史記』「項羽本紀」に見える故事に基づく。紀元前206年ごろ、楚の項羽が故郷へ帰ろうとした際、韓生が「楚人は沐猴にして冠するのみ、果たして然り」と評した。これを聞いた項羽は怒り、韓生を処刑したとされる。「沐猴」は猿、「冠す」は冠をかぶせる意。
備考
相手の人格や教養を強く見下す、侮蔑的な表現である。日常会話で他人に直接用いるのは避け、自戒や批評的な文章で使うことが多い。
別表記
- 沐猴に冠す
- 沐猴冠す
- 沐猴にして冠する
- 沐猴而冠
誤用・混同注意
- 「服装や肩書きを整えれば、誰でも立派になれる」という意味で使うのは誤り。外見を取り繕っても内実や品格は伴わない、という批判的な意味である。
- 「沐猴」の「沐」を逐語的に解して「洗われた猿」とするのは誤り。「沐猴」は猿を指す漢語である。
例文
- 立派な役職に就いていても、部下を尊重せず学ぶ姿勢もないのでは、沐猴にして冠すと言われかねない。
- 高価な制服だけ整えて接客の基本を教えなければ、店員を沐猴にして冠すようなものだ。
- 彼の発言は肩書きに見合う内容ではなく、周囲には沐猴にして冠すとの印象を与えた。