怨みに報いるに徳を以てす
読み方
うらみ に むくいる に とく を もって す
意味
他人から恨まれたり害を受けたりしても、仕返しや憎しみで応じるのではなく、思いやりや善意をもって接するべきだという教え。敵意の連鎖を断ち、徳によって相手を導こうとする態度を表す。
由来
中国の思想書『老子(道徳経)』第六十三章にある「報怨以徳(怨みに報いるに徳を以てす)」に基づく。『老子』は戦国時代(紀元前4~3世紀ごろ)に成立したとみられるが、作者・成立年には諸説ある。日本には漢籍の受容を通じて伝わったが、この和文表現がいつ定着したかは明確でない。
分類・由来
備考
『論語』では孔子が「怨みには直(公正さ)で報いよ」と述べたとされ、この句の「徳で報いる」という考えとは異なる。日常会話より、教訓的・文章語的な場面で用いられる。
例文
- 彼は自分を中傷した相手が困っていると知ると、ためらわずに助けた。まさに怨みに報いるに徳を以てすという行いだ。
- 取引先の失礼な対応に腹が立っても、怨みに報いるに徳を以てすという姿勢で、冷静に改善策を話し合おう。
- 仕返しをしたいと言う弟に、祖父は「怨みに報いるに徳を以てすという考え方もある」と諭した。
類義語
- 以徳報怨
- 徳を以て怨みに報いる
対義語
- 目には目を、歯には歯を
- やられたらやり返す